この資料は、以下の製品に該当します。
- Acronis Backup Advanced 11.5 (Acronis Backup & Recovery 11.5)
はじめに
Microsoft Exchange Server 2010 は、調整ポリシーを使用して、Exchange 組織のパフォーマンスを管理します。
Exchange 組織が作成されるときに、その組織内のすべてのユーザーを暗黙的に制御するデフォルトの調整ポリシーが自動的に作成されます。管理者は、Exchange 組織の要件に従ってカスタムポリシーを作成することができます。作成したポリシーは、すべてのユーザーまたは特定のユーザーに割り当てることができます。管理者は既存のデフォルトのポリシーを変更することもできます。調整ポリシーの詳細については、Microsoft TechNet の記事「クライアント調整ポリシーについて」を参照してください。
調整ポリシー(デフォルトまたはカスタム)の特定のパラメータ(RCAPercentTimeInAD、RCAPercentTimeInCAS、RCAPercentTimeInMailboxRPC、RCAMaxConcurrency)が設定されている場合、ポリシーが Acronis Backup によるメールボックスへのアクセスに影響することがあります。これはバックアップおよび復元の問題の原因になります。
特別なレジストリ値で制限されていない場合、Acronis Backup はバックアップまたは復元中に自動的にこのポリシーを適切なポリシーに置き換えようとします。「バックアップまたは復元操作を正常に行うことができないようにする調整ポリシー 'PolicyName' がメールボックス 'MailboxName' に設定されています。このポリシーは、ポリシー 'NewPolicyName' により一時的に無効になります。次に、製品によって新しい調整ポリシーが作成され、この操作を実行するユーザーに割り当てられます。バックアップまたは復元が終了した後で、古いポリシーが自動的にロールバックされます。
レジストリ値によって自動的な置き換えが制限されている場合、「調整ポリシーの修正が無効です」という警告が製品のログに書き込まれます。その後で次のいずれかの状況が発生します(これは何らかの理由でポリシーの置き換えが失敗した場合にも当てはまります)。
- 通常はメールボックスのバックアップまたは復元が失敗します。
- データベースのバックアップ中に、[メタデータコレクション] オプションに関係なく最低限の詳細レベルでメタデータが収集されます。
解決法
新しい調整ポリシーを手動で設定します
バックアップまたは復元の操作を実行するユーザー用の適切な調整ポリシーを手動で設定し、現在このユーザーを制御している調整ポリシーが原因で発生する問題を回避することができます。
(!) バックアップまたは復元操作を実行するユーザーは、[バックアップの対象] > [アクセスログイン情報](バックアップ計画内)または [復元対象] > [アクセスログイン情報](復元タスク内)で指定されます。
新しいポリシーを設定する前に、RPC クライアントアクセスの設定を操作するための適切な権限がすべてあることを確認してください(Microsoft TechNet の記事「クライアントアクセス許可」の「クライアントアクセスサーバーのアクセス許可」セクションを参照してください)。
適切な調整ポリシーを設定するには
- Exchange 管理シェル(PowerShell.exe)を実行します。
- Get-Mailbox コマンドレットを実行し、新しい調整ポリシーを適用するユーザーの現在のポリシーを確認します。
Get-Mailbox -Identity UserName | fl ThrottlingPolicy;
ポリシー名が表示されない場合は、ユーザーはデフォルトの調整ポリシーによって制限されており、新しいポリシーは常にそのすべてのパラメータ値を継承します(ただし、ポリシー作成中に指定したパラメータ値は継承した値を上書きします)。それ以外の場合は、ユーザーは管理者によって割り当てられたカスタムポリシーによって制御されます。この場合は、新しいポリシーを作成する代わりに既存のポリシーを変更することができます。
(!) カスタムポリシーは Exchange 組織内の複数のユーザーを制御できるので、新しいポリシーを作成するか既存のポリシーを修正するかの最終的な決定は管理者が行う必要があります。
► 新しい調整ポリシーを設定するには、次の手順を実行します。
- New-ThrottlingPolicy コマンドレットを実行し、指定されたパラメータを $null に設定することによって新しい調整ポリシーを作成します。
New-ThrottlingPolicy -Name PolicyName -RCAPercentTimeInAD $null -RCAPercentTimeInCAS $null -RCAPercentTimeInMailboxRPC $null -RCAMaxConcurrency $null;
- 次のように Set-Mailbox コマンドレットを使用して新しく作成したポリシーをユーザーに割り当てます。
$policy = Get-ThrottlingPolicy PolicyName;
Set-Mailbox -Identity UserName -ThrottlingPolicy $policy;
► 既存のカスタム調整ポリシーを変更するには、次のように Set-ThrottlingPolicy コマンドレットを使用します。
$policy = Get-ThrottlingPolicy PolicyName;
$policy | Set-ThrottlingPolicy -RCAPercentTimeInAD $null -RCAPercentTimeInCAS $null -RCAPercentTimeInMailboxRPC $null -RCAMaxConcurrency $null; - New-ThrottlingPolicy コマンドレットを実行し、指定されたパラメータを $null に設定することによって新しい調整ポリシーを作成します。
- バックアップまたは復元の操作を再開します。
次回は設定済みのポリシーが使用されるので、古いポリシーを手動でロールバックしたり、カスタムポリシーの変更した値を基に戻したりする必要はありません。
レジストリ値の設定
次の理由から特別なレジストリ値を設定してポリシーの自動的な置き換えを無効にすることができます。
- 置き換え中の失敗を回避します。
- 現在のインフラストラクチャの特徴によっては置き換えが推奨されないことがあります。たとえば、管理者に通知せずに Exchange 組織の設定を変更することが許可されてないインフラストラクチャの場合や、常に保持する必要があるパラメータ値を含むカスタム調整ポリシーがユーザーに割り当てられている場合などです。
ポリシーの置き換えを無効にするには
- Windows レジストリエディタ(regedit.exe)を開きます。
- HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Acronis\BackupAndRecovery\ArxAgent\Settings キーに移動します。
- DisableMailboxThrottlingSetup DWORD 値を作成して 1 に設定します。値を 0 に設定するとポリシーの自動的な置き換えが有効になります。
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